1990年10月日本橋三越本店で開催されたCAPA & CAPA写真展で購入した写真集です。
ロバート・キャパと弟コーネル・キャパの戦争と平和の写真、そして子供たちの写真。
初日当日の夕方、エレベーターでコーネル・キャパと乗合せました。写真で見ていたロバート・キャパとそっくりで、そのままドキドキしながら写真展を見て、集中というのか衝撃というのか呆然として、友達と夕食の約束を大幅に遅刻してしまったのが昨日のように思い出されます。
先週の山本さんの訃報から、またこの写真集を手に取りました。
中に、リチャード・ウェーラン氏の言葉があります。
ロバート・キャパは「人」を撮り続けた。人類が経験する様々なドラマをドキュメントするのが彼のライフワークだった、彼が常に、そして熱心に子供たちの姿を捜し求めていたのがよくわかる。子供達の写真はライフワークの一部分なのではなく、大切なライフワークそのものだった。彼が撮った子供達の写真には、戦争に遭遇してしまった子供たちに対する哀れみ、そして、彼らに戦争の傷跡を残していった権力に対する怒りがある。子供を撮ると、どうしてもそのかわいらしさだけがクローズアップされがちだが、彼が撮った子供の写真に「可愛らしい」写真は一枚もない。フレームの中の子供達には、常に、ある種の尊厳がある。
弟、コーネル・キャパ氏の文章にはこうあります。
今回の写真展のためにすばらしい子供たちの写真の最高のものを選び抜いた。(略)
これらの写真は、私にとってもっと個人的に大きな意味を持っている。これは、ボブが密かに大切にしていた家族、世界中にいる彼が出会った子供達のアルバムなのである。このアルバムに収められた作品は、私たちの両親が幼い彼に注いだ愛情の結実であり、私は、母が生涯惜しむことなく注ぎ続けた愛の結晶をそこに見出した。溢れるがごとく彼に注がれた愛、与えられたもののすべてが、彼自身の優しさとなって、世界中の子供達に受け渡されている。これは、愛する心と、寂しさを、写真という形で浮彫にする写真展である。
山本さん、そして数年前ミャンマーで凶弾に倒れたジャーナリスト長井さんにも同様のものを感じます。謹んでお悔み申し上げるとともに、神の御心によってご家族の心の痛みが安らぎますように。
小学生の時に母方の祖父から毎年、少年朝日年鑑を贈られていました。ベトナム戦争や数々の公害病を知ったのも報道写真です。写真の力を信じています。
それにしても、今回も海外のジャーナリストを狙ったことに怒りを覚えます。

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