ノースカロライナ産アゼツライト。両面のカットで六芒星が表れます。
昨日は韓流フェスティバルで「中天」を観ました。
中天とは、人間が死んで魂が天上に向うまでの49日間留まる人間界と生まれ変わるための天上との間のような処。(という解釈でいいのかしら)
霊魂は禊のような湯に入り無臭になり、でも霊魂たちは香りがないと生きていられないらしく(人間としては死んでいるので表現が難しい)、天女(?)のような存在が祈りから香りを出し、また怨霊と戦う(?)時も薔薇の花びらを飛ばすような表現をされていたけど香りを出していたように思えました。
そこで思い出したのが、群書類従に書かれている「菩薩聖衆のとこしなへの御にほひなれば、極楽浄土のむかへに預かる時の異香と申すも、かかるかうぼしき匂ぞかし」
薫物(練香)は臨終の際に仏の来迎に預かるときの特異な妙香と同じであるという文章。それと、お香の大師匠から伺った話の、古来中国から伝わるのが(もちろん現在でも、らしい)、悪霊を追い払うのに即効性があるのは伽羅を焚くこと。
薔薇の花の香りというとアッラーに近づいた香りというイメージがするけれど、源氏物語の薫君の香り、生まれつき身体に芳香を具えていてその香りは肉体的属性というより、仏道に帰依しているからこその仏=本来よい香りを放つものという香りに近いのではないか。でもその仏性の香りを映像にするならどう表現するのかしら・・と考えこみました。(薫君の解釈は尾崎左永子著「源氏の薫り」求龍堂刊を参考にしております)
映画の中には、何とか夫人(名前覚えられなかった・・・)が天竜八部衆の乾闥婆のようでした。乾闥婆は音楽の神であると同時に香神であります。
もちろん、映画は香りがテーマではありません。人は死に記憶も何もなくまっさらな状態で天上に行くのか、愛も憎しみも記憶があるから人間は執着し苦しむのではないか、というようなことが描かれていたように思えます。良くも悪くも記憶は肯定的なとらえ方のようでした。
自分の記憶でさえ神が与えてくれたものであれば、私はすべて執着なく手放したいと思います。
薫君のように薫物を焚き染めずとも妙香を放ちたい・・・という煩悩はいつなくなるのでしょう?(笑)

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4件のコメント

  1. サラームさん、こんばんは。
    中天の香りについてのお話、興味深く拝読しました。
    薫君、光源氏より好きでした…
    あの花の香りは「桃の花」と言うことのようです。蓮の形の巨大な香炉でした。
    魂から俗世の垢をとり除き、天に向かう生命力を吹き込むのに不可欠な桃の香り、と説明されています。
    桃には邪気を祓うという力があると考えられているんですね。初めて知りました。
    あの泉はタンチュイタン(殫臭湯)、音楽の神様はチャンブシン(倡夫神だと…たぶん。最初の文字は確かです)
    天に行くための香りだから、人間であるイグァグは倒れてしまったんでしょうね。認識が深まりました。ありがとうございます。

  2. お教え下さりこちらこそありがとうございます。
    タンチュイタン(殫臭湯)とは、なるほど。
    ソファの香りは桃の花だったのですね。巨大な香炉はどこかで登場しましたか?
    物語途中でイグァグが中天で咲く天然草(でしたっけ?)の香りや倡夫神の作り出した街で食したチヂミの味がわからなかったのも人間だったためで、ラスト天然草の香りがわかったのは霊魂になったため?その後天にそのまま昇ったのかしら。1回しか観ていないと一寸謎が残ります。(そこが楽しいけれど)
    個人的には、倡夫神の仏教的な人間・霊魂に対する慈しみのような愛、道理が心に残りました。
    また時間があったら観てみたいと思っています。
    私も薫君のストイックさが好きでした。
    また匂宮の人間的な部分も痛くて、宇治十帖が一番気に入っています。

  3. 宇治十帖、そう、私もこちらの方が好きでした。また読んでみたくなりました。
    巨大な香炉は、光が途絶えていてソファが念をこめたら、また光と立ち上る香りが表現されるシーンがありますね。
    あそこで、むわむわと煙が上がっている花びらがたくさん入っているものの形が蓮の花の形なのだそうです。
    あまり仏教的な要素は前面に出したくなかったようで、少し抽象化していますね。
    天然草の香りがする、と言うことでイグァクは中天の人になったのだと思います。だから、「俺たちまた会えるかな」と言っている。
    そして、イグァクを一人残して先にソファは天に昇ったのでしょうね。
    私は二人がまたどこかで再開しているシーンで終わってくれると良かったのにな~と思っています。
    今度ご覧になる機会があったらチャンブシンが身につけている、石を教えてくださいませ。左の耳にピアスの石が見えるのですがよく分からないのです。指輪もたくさんしているし。
    翡翠はパンチュも奥さんの形見の指輪としてしていますね。
    なかなか興味が尽きないことばかりです。

  4. なるほど、あの場面ですね。蓮の香炉のイメージだとは気が付きませんでしたわ。
    倡夫神の身につけている石と共に、しっかりと確認してみますね。翡翠と黒っぽい石?のような印象があるのですが、チョンハクさんの演技に見とれてはっきりとは覚えていません。
    イグァクが天に昇った時、その記憶はなくてもお互いは引き寄せられはっきりわかることでしょう。縁があることを。
    ありがとうございます。

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